2008年05月10日

文章は書き手の癖をそのまま活かそう

 次に、文章です。これに苦労される方がたくさんいらっしゃいます。私だって、そんなに得意な方ではありません。最低5回は修正が入りますし、家内には「主語がない」「文章がおかしい」と、何度も指摘をされるような文章です。
 ご心配要りません。今は、ワープロという武器があります。とにかく書いてしまえば、直しはいくらでも効きます。躊躇せず、ドンドン書いて、あとで直しましょう。

 それから、書き言葉は、話し言葉が良いようです。私のこのニュースレターのように、語り口調。ですます調です。あたりがソフトになり、読み手がすんなりと入りやすくなると思います。(反面、断言しても、強く伝わらないので、もどかしい面もあります)

 次に、タイトル。会社が出していることをわかりやすくしようと、社名や店名をつけては、チラシと同じ扱いを受けます。これも、先の、自分の会社や店が、扱っている商品が、どのようなシチュエーションで使われると、もっともよいと思うのか、もしくは、もっとも嬉しい状態であるかを、まずは考えてみましょう。
 その、もっともすばらしいと思うものを、タイトルに含めてしまえばよいのです! たとえば、「おいしい通信」とか、「ニコニコ新聞」、「元気で健やか新聞」など、いいイメージを抱かせるタイトルです! これ考えるのって、楽しいですよ!

 では、あなたのチャレンジを待っています! 

(田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」10号 2003年1月15日号より抜粋、加筆、要約」)

売り込みは絶対にしない

 ニュースレターで売り込みをしないと言うのは、大変重要です。大前提です。売り込みを一つでも入れると、他の情報の信憑性がなくなります。情報提供に対して、感謝の念を相手に持たせるには、正確な情報を教えてくれた、いうことがあって、はじめて成り立ちます。

 次に、ニュースレターを受け取った相手の感情を考えてみましょう。
 出した人がニュースレターを出すのは、何かの理由があるからです。何の理由もなく、作って出されても、受け手はその手紙をどう考えればよいのかに、困りますね。
 これを、スムーズに伝えるのに役に立つのが、ニュースレターを出す人が持っている「使命感」です。使命感があるからこそ、伝えたいことが出てくるのです。
 これを考えるには、すこしだけ、想像力を働かせてみて下さい。すごく簡単です。ご自分の会社やお店がお客様にお売りした商品が、お客様にとって、どんな良いことを実現するのに役立っているかを考えてみるのです。

 たとえば、食品スーパーの場合、買って頂いたお客様は、それを使って料理をして、家族に食べさせます。すると、料理をするお母様は、どんな気持ちを持って、その日の献立や調理をするのかということを、考えます。
 料理は、まず、「安全」でなくてはなりません。食中毒を起こすようなものや、将来体に悪いものを使っている料理は、どんな方でも食べたくないに違いありません。お客様であるお母様も、お子さまに「危険」のあるものを食べさせたいと思っているわけがありません。

 その次が、「美味しい」です。
 やはり、美味しいものを食べたいですね。言うまでもないことです。
 味付けが濃かったり、薄すぎてもイヤですし、第一家庭の味というものが、どの家庭にもあるわけです。

 そして、その結果、そのお宅の朝食や夕食は、「楽しい」ものになります。その楽しい食事があるからこそ、この家庭は「幸せ」ですし、「健康」も維持できます。

 そうです。食品スーパーが本当に届けているのは、食材だけではないのです。料理に必要な食材の提供を通して、家族の「幸せ」や、「楽しさ」、「健康」などを、お届けしているのです。
 そうすると、いかがでしょうか。その家族の幸せや楽しさ、健康などは、すべて扱うネタとなります。
 いくらでもネタがありますね。

 そうした、「家族の食生活を楽しくするための方法」や、「家庭生活をいかに楽しくするか」などにいつも気を遣っている、という姿勢を、お客様は評価するのですね!

(田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」10号 2003年1月15日号より抜粋、加筆、要約」)

ニュースレターの鍵は「信頼」

 ニュースレターでもっとも重要なことは、「信頼関係」を作り上げることです。
 信頼関係を持つと、心と心を通わせ合い、お互いがお互いを理解した上で、はじめて双方が納得する、良い商売が成り立たせられます。
 一度買って頂いたり、会ったりした方に、このニュースレターを送ると、記憶に残りますし、第一、信頼度が格段に増します。購入にいたる、重要なステップに、この「信頼関係」が、販売の心理学でも上げられていますが、まさに、これを作り上げることが、10円もかからない印刷代と、80円の切手代だけで、構築できてしまうのです!

 おまけに、お客様の方から、「今度こういうことをやろうと思っているんだけど、見積もり下さい」と、電話をかけてきていただけます。
 電話がお客様から来るということは、すなわち商談成立の可能性が非常に高いと言うこと。はじめから、米つきバッタのようにお礼をしたり、何度もあしげく通って、注文をお願いしたりする必要もありませんから、値引きもなし。
 通信販売業では、ニュースレターやその他の情報誌を送ることなく、商品だけを送っただけで業績を上げている会社はないんじゃないかと思います。

 商品をせっかく買って頂いても、リピートが少ない、クレームが多い、などと言った事例は、枚挙にいとまがありません。私の会社でも、日々クレームが起こっています。しかし、そうしたことは、提供している商品が本当に原因であることは少ないです。リピートが少ないのは、単に売り方が効果的でないだけですし、クレームが来るのも、品質に問題がある場合を除き、それは商品の注文時に、お客様の要望を満たせていなかったり、適切な情報をお知らせしていないだけのことが多いのです。
 それは、お客様の要望をすべて聞き入れていなかったと言うことです。と言うことは、正しい情報を伝えて、理解していただき、ご納得頂くということが、できていなかったと言うことになります。そうして、何らかの行き違いや、情報が足りなかったということがあって、クレームになるのです。

 商品は、お客様が「欲しい」と言って、ご購入頂くものです。でも、売上げに苦しんでいる営業マンは、売ることしか考えていないから、商品について過大に表現したり、悪い情報をなるべく矮小化して、伝えようとします。売り込みの強すぎる営業マンは、こうしたことを日常的に行っているから、嫌われるのですね。

 正しい情報をお客様にお伝えすること。これが、商売を円滑にし、リピート客を増やすのです。

 では、「正しい情報を伝える」には、どうしたらよいでしょうか。それは、文章が一番だと、私は思います。文字だと、お伝えしたいことを、容易にしかも正確に伝えることができます。

 人間同士の会話は、単語のつながりが結構バラバラです。感情にも左右されてしまいます。聞き手が話し手の意図を正確に理解しているかどうか、怪しいものです。同じことを伝えるのでも、笑いながら言うのと、暗い顔で言うのとでは、受け取り方が全然違いますからね。

 笑いながら「鈴木さんから電話がありました」と言われれば、ああ、何か良い電話だなと、無意識に感じますし、逆に暗い顔で、「鈴木さんから電話があった」と言われたら、反対に何か良くないことでもあったのだろうかと、考えてしまいます。

 しかし、文章だと、整理された情報を載せるのですから、会話よりは自分の伝えたいことが正確に伝わります。おまけに、何度も読み返すことができ、後日まで残すこともできます。文字は、言ってみれば「デジタルな世界」ですから、会話の持つ「アナログ」なあいまいさを排除できます。

 さらに、もう一つ必要なことがあります。本当に意図をまっすぐ伝えるには、言葉が正確なだけでは、まだ足りない、と言うことです。何が足りないかというと、それは発信側と受け取り側に横たわる、「信頼関係」です。

 嫌いな相手から言われたことを、その言葉通りに受け取れるでしょうか。嫌いな相手からの話など、どんなに良さそうな話でも、疑ってかかってしまいますね。今日はじめて会ったばかりで、その人なりをまったく知らない相手からの言葉も、やはり信じられません。

 しかし、そうは言っても、何度も何度も会うことはできませんし、お金もかけられません。では、一体何をやると、商売で必要な信頼関係を構築することができるのでしょうか。

 それは、「お客様の期待以上のことをやること」です。

 ニュースレターは、お客様に送りますよと言って出すよりも、予告なく、お届けすることで、「おお、こんないい情報を、わざわざ郵便で送ってきてくれた」という気持ちを、お客様に持たせることができるのです。つまり、お客様として、大切に扱われている、というふうに思ってもらうことになります。これが、「信頼」を得るための第一歩なのです。

 そのほか、購入して頂いた相手に対して、お礼のはがきや、ささやかなプレゼントを贈るなどといったことも、大変効果があります。

 その中でも、私の経験では、この信頼関係を作るのに、ニュースレターは最高の道具です。単にお礼やプレゼントをするだけではできない、もっと深いモノを作ることができるからです。

(田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」10号 2003年1月15日号より抜粋、加筆、要約」)

開業半年で30件の新規開拓に成功した行政書士のニュースレター

 次に、今年4月に行政書士事務所を開業したVさん。8月2日に私が講師になったセミナーに参加して、ニュースレターの効果や作り方を学ばれました。自社の強みを誌面で訴え、実績が出た事例です。
 注力したのは、一言では紹介しにくい行政書士のできる仕事を伝えることと、あまり知られていないお得な情報を提供することで、顧客が得をして頂くということ。もともとそうした「お得な情報」には明るかった梅野さんは、過去の経験から、そうした情報の提供が喜ばれることは、ご存じでした。
 文章はVさんが書き、デザインとイラストは外注。女性らしい、美しい誌面で、手に取った方がとけ込みやすいデザインです。
 飛び込みで全くの新規で配ることと、既存のお客様に配ることの両方を実施しました。飛び込みはあまり成果がなかったそうですが、既存顧客からの紹介客の獲得に成功しました。その数がなんと30件くらい。売上げは初回なのでそれほど多くはないそうですが、新規開業半年にしては、立派な成果です!
 行政書士業って、一回の単価は低くても、サービスの内容が満足されれば、必ず繰り返しの受注が見込めますから、長い目で見た顧客の価値は、思ったよりも高いモノです。しかも、紹介客はさらに紹介してくれやすいですから、一人のお客様の獲得の成功は、ネズミ算式の顧客数の獲得が期待できます。
 お話をしていると、仕事を楽しんいる様子が印象に残る、さわやかで何とも素敵な方。これからは、こんな女性たちが、自分が楽しみながら、お客様も楽しませながら、ワクワク仕事をして、成功されていく時代なのだなと、確信しました。何たって、「BE」の時代ですからね!
(田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」6号 2002年9月15日号より抜粋、加筆、要約」)
posted by がみぽん(旧:ニャンダー) at 20:53| Comment(0) | TrackBack(0) | ●プロが決して教えない効果が出る販促実例集

3倍の料金を払わせても私を満足させた靴磨きオジサンのアップセールス

 9月の終わり、東京に行った際、東京駅の丸の内口で、靴磨きをしてもらいました。
 靴磨きのオジサンは、駅出口の真ん前に3人並んでいましたが、空いていた向かって一番左の方にお願いしました。「500円」の札がかかっていました。「まあ、500円なら、いいかぁ」って思いながら、あまり気にせずに、座りました。

 すると、座って、靴を脱いだ否や、この靴磨きのオジサンは、「お客さん、この靴たぶん買ったときからこんな感じだったよね。ちょっと、黒さが薄いだろう? このまま磨いても、あんまりピカピカにならないんだよね。でもさ、これつけると、ぴかぴかの真っ黒けになるけど、どうする?」と、勧められました。「いくら」って聞くと、500円でした。500円の追加でピカピカになるのなら、いいやと思って、お願いしました。

 すると、言葉通り、ピッカピカになりました。靴を磨くのって、本当に気持ちがいいですね。嬉しくなって、今度は、「そういえば、僕、靴の底が斜めに擦れちゃうんですよ」って、言ったら、すかさず「靴底につけるペラがあるから、これつけてみたら」といって、見せてくれました。「これ付けとくと、減っても交換するだけだから、長持ちするよ。昔は金属製だったから、街歩くとキンキンうるさかったけど、今のはプラスチック製だから、音がしないんだよね。」と言います。私の靴底は、昔から斜めに擦れていたので、これはイイと思って、お願いしました。値段は、やはり500円でした。

 結局、私は500円の札をみて座ったのですが、終わった頃には1,500円を払って、すがすがしい気持ちで、靴磨きのオジサンのところをあとにしたのでした。

 これは、商売が本来あるべき姿を見せているストーリーだと思うんです。

 まず、500円というのは、基本料金です。これは、まあ、靴磨きサービスには不安なく払える金額です。値札をかけておかないと、ボッタくられたら叶わないという不安心理が働いて、お客さんは座ろうという気がおこりません。
 私が椅子に座り、靴を良く見た上で、ピカピカに黒くなるオプションを500円ですすめてくれました。

 確かに私の靴は、買って1年以上経っていて、そんなに良い状態ではありませんでしたから、「そんなにきれいになるのなら、試してみるか。まあ、500円だし」と言う風に思って、「じゃ、それでお願いします」と、口に出していました。

 さらに、セールスのタイミングが絶妙です。オジサンは親の代から数えて50年間、丸の内口で靴を磨き続けてきたプロ中のプロです。座る前にでも、靴を見ただけで、その液をつけないと黒くならないことは分かっていたはずです。でも、僕が座って、目の前で靴をよく見てから、「アドバイス」されました。座る前に、「お客さん、その靴、この液つけないときれいにならないよ」って言われたって、「いちいちうるさい靴磨きだ」と感じて、座らなかったかもしれません。座ったあと、靴を見たあとだったから、「ああ、職人さんがそういうんだから、間違いないんだろう」って、信じられたのです。

 今度は逆に、もし、この液をすすめてくれなかったらどうでしょうか。今度は500円が、なんだか高く思えたかも知れません。だって、ただ単にこするだけでは、大したつやは出なかったはずだからです。満足度は余り高くなかったに違いありません。本当にすすめてくれて、良かったと感謝しています。

 もし、お願い口調で「ぴっかぴかに黒くなる薬品があるんですけど、つけていただけませんか?」なんて言い方をされていたら、「別にいいよ」で終わっていただろうし、頼んだとしても、「つけてやったんだ」という感情が心に残り、良好な人間関係ができにくかったんでしょう。主人と奴隷の関係です。「俺は金払ったんだから、おれは偉いが、あんたは俺のおかげで、お金が得られた」という風な関係になるからです。
 しかし、「つけると黒くなるけど、どうする?」と、まるで医者か何かに言われるかのように、きっぱりと、営業口調でもなく、堂々と、「どうする?」と、選択をこちらに委ねて来たのです。

 オジサンは磨くのを始める前に、液をつけるかつけないかの判断をこちらに委ねてくれました。断る自由も、こちらにはありました。自分の判断が売り手に強制されたものではなく、正しい状況で判断を下せたという満足感が残っています。

 結局、私は当初の代金の3倍を支払って、大いに満足をしたのでした。

 このように、オプションをちゃんと売って、売上げを上げて、お客さんを満足させるというのは、まさしく、プロの商売人のやることだと、関心しました。マクドナルドで、注文時に飲み物を頼まないと「お飲物はいかがですか?」と聞かれるのと一緒です。アップセールスという手法です。しかし、マニュアル通りの機械的な対応とは違う、プロとして、「俺は結果の出る仕事しかやらねーぞ。その結果に対しての対価は、正当にいただくぜ!」という迫力を感じます。

 この靴磨きは、客である私に、対等の立場で、まるで医者のように、アドバイスをしました。売りつけるのではありません。「これつけるとさ、ぴっかぴかになるんだよ」って言って、「どうする?」って、選択権をこちらに委ねたのです。もし、「おつけになりませんか?」って売り込まれたら、「つけてやったんだ」って、なんだか高飛車な態度に出そうになります。しかし、選択権がこちらにあって、判断をしたのは自分なわけですから、そんな気には一切なりません。それよりも、「そんなイイ情報を教えてくれて、あなたはやっぱり、靴磨きのプロだ。今度もぜひ、お願いするよ」って気持ちに、僕はなっています。

 商売って、本当はこうでなくてはならないなと思いませんか? 売ってあげて、買った相手に感謝される。仕事をしていて、これほど気持ちが良く、嬉しいことはありません。これが一番ですよね!

(田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」6号 2002年9月15日号より抜粋、加筆、要約」)
posted by がみぽん(旧:ニャンダー) at 20:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ●プロが決して教えない効果が出る販促実例集

本当に業績のイイ会社は、仕入れ先・外注先を接待する!?

 先日、ある効果が上がる販促物の勉強会で講師として話してきました。その後交流会があり、いろいろな方と会食をともにしたのですが、そこでぶっ飛びましたヨ。
 売上高70億円ほどの地元の通信販売会社で、近年その売上高の伸び方が注目を浴びている優良企業の専務が、「うちは外注先や仕入れ先を接待してるよ」と言うのです。
 うーん、通常は顧客を接待するのが常識なのに、商品を買ってあげている仕入れ先を接待するとは....。外注先や仕入れ先が、商品を買う側を接待することはあっても、買われる側が買う側から接待されるとは...。
 
 一般消費者向け通販だから、個人である顧客を接待することはないとは言え...。

 よーく考えてみると、この会社は極めて当たり前なことをやっているのだということに気が付きました。

 接待をするというのは、すなわち、あなたと、今後も長いつきあいをしたい。その気持ちを表すために、食事の席を設けて、ともに楽しく語り合う場を作るわけです。他社には浮気せずに、ぜひ、当社と、よい関係を長期に渡って、良好に保っていきたい。そういうことです。
 顧客に対しては、特に法人営業をしている会社では、もちろん私が経営している会社でも例外ではなく、お客様に対しては、ある程度きちんとした接待をして、良好な関係を維持しようとしています。

 とはいえ、いくらお客様が見つかっても、商品を作って、納期通りにきちんと納めてくれる仕入れ先がなければ、お客様へ供給できません。お客様の確保ができた後は、今度は仕入れ先にきちんとした納品をしてもらわないと、お客様の信用を、落とすことになってしまいます。

 業績の良い会社は、顧客の獲得の悩みはないので、既存顧客の維持とより高品質で、満足度の高い商品を作ってもらうために、仕入れ先を接待しなければならないことになるのです。

 商品は、自社で製作している場合や、外注する場合など、色々ありますが、仮に自社ですべて生産しているとしても、原材料などは当然ながら仕入れ先からもってきてもらうことになります。と言うことは、顧客から注文を得た商品を、自社だけで原料・生産・納品までをすべてまかなうことは土台無理な話であって、どこかに必ず外注の手が必要になります。

 単に、普通の商品を納めるのなら、当たり前の原料を当たり前に仕入れて、当たり前に作れば良いわけです。外注や、完成品を仕入れて持って行くにしても、仕入れ先さえ見つかれば、発注して納品されたら、それを顧客の元へ、納期通りに持っていくだけです。

 しかし、他社よりも優れた商品を顧客に提供し、自社オリジナルの品質と満足度を提供しようとすると、話は変わってきます。

 仮に、A工業という優秀なメーカーがあったとしましょう。あなたはB販売という、販売会社の販促担当者だとします。
 このA工業は、極めて低コストで、品質の良い商品を作っているとしましょう。そして、その商品は、まだあまり市場では知られていないが、極めて高い満足度が得られる商品で、テスト販売したところ予想以上の注文数が取れたすごい商品であることを発見したとしましょう。

 あなたは、そのA工業に、その商品を、同業者にも売って欲しいと思いますか?

 同業者へは売って欲しくないですよね。せっかく新しい市場が取れる商品なのに、みすみす他社には渡したくないですよね。

 でも、契約などで、A工業に縛りをかけない限り、A工業は少しでも販売量を多くしようと、B販売以外の販売先も当然ながら開拓するでしょう。

 しかし、B販売からの扱いがかなりの量になっていると、B販売のライバル会社にはなかなか売りに行きにくいですね。すると、A工業は、その商品に関して、新規開拓に力を入れられず、その商品は、B販売専属品になります。

外注先とのやりとりが減ると、商品力が下がり、競争力が下がっていく危険が...

 ここから先が、危険な領域です。

 このメーカーは、その商品の製造と品質に関しては、一定のレベルをクリアしようとはするでしょうが、改良を加えたり、派生商品を作ろうという挑戦を行わなくなります。なぜなら、要請もないのにそのようなことをやって、もししくじったら、その商品の安定的販売先であるB販売を失うことになるからです。

 冒険がなくなるとどうなるか。後発メーカーが、冒険してくるのです。より低価格、高品質な商品を出してきて、先発メーカーを追い落とそうとします。商品の魅力とは、常に他との相対的な比較の結果であって、絶対的なモノではないからです。

 メーカーであるA工業には、自社の製品に、ライバルが出てきたという危機感が芽生えません。もちろん、発注量が減ればスグに分かりますが、発注量が減った理由が含まれた情報が入ってきません。直接消費者に対して、販売していないため、消費者が「最近はA工業の製品の魅力がなくなった」などといった情報が流れてこないためです。

 A工業は、その製品の売上げが落ちており、改善をしたいと考えても、どこをどう改善したらよいのかが分からないので、手が出ません。

 あなた自身も、メーカーではないので、改善しようと思っても、どうすれば良いのか分かりません。

 販売会社とメーカーの関係として、情報の双方向の流通が途絶えていると、こうなってしまいがちです。重要な顧客の情報だから、メーカーには隠しておこうと、販売会社は考えがちです。販売会社側とメーカーが、商品をいっしょに作っていこうという発想がなければ、当然そうなります。今は仕入れてくれているメーカーだって、何かのきっかけで、来年はライバル会社に納品しているかもしれない。そうなったときのことを考えると、とても顧客の情報なんて渡せないし、ましてや、製品開発をいっしょにやるなんてことはムリ...。他によい商品が出てきたら、それを仕入れれば言いわけで、メーカーなんて、いくらでも見つかる....。

 販売会社は、いつも「購買力」という力を持っているため、このような発想になりがちです。

 そうしたことが長年続いてきた業界では、今、販売の落ち込みが激しいようです。デパート業界や、ダイエーなどの大型スーパーですね。こうした業界は、長い手形や10ヶ月くらいのサイトでの支払いなど当たり前だそうです。

 ある福岡の老舗のデパートへの納品している知人の会社でも、専務がこぼしていました。長いつきあいなので、催事でたのまれると断れないそうですが、手あかがたくさんついたり、包装が破れたりなどした商品が、3ヶ月後に返品されるなどは当たり前。商品は委託販売で、売れた分だけ入金されるため、商品は手許にないのに、いつまでも売上げにならない。売れた商品の支払い日は不定で、長いときは10ヶ月後。入金があっても、どの商品の入金かどうか分からない。調べたいというと、自分で伝票をみて、調べてくれと言われて見に行っても、大量の伝票があるので、探すのが大変だった...。

 そんな会社に製品を納入する会社は、全部がそうではないとは思いますが、他の販売ルートがないため、仕方なくて付き合っているのではないのか? そう思わされるくらい、このデパートの納入業者の扱いはひどいと思います。

 現在では、そのデパートは名前こそそのままですが、店舗の場所も変わり、親会社も東京の大手の超有名百貨店になってしまいました。

商売のカギを握っている仕入れ先や外注先の優劣

 巨額の有利子負債の返済で頭を痛めている某超大手スーパーも、数年前に、業者から受け取るリベートで決算対策をしていたことが、新聞にすっぱ抜かれましたね。こんな販売会社には、メーカーはたとえいい商品ができたとしても、真っ先に持っていこうという気にはならないですよね。どうせ持っていって、売れたとしても、入金が10ヶ月後。おまけに、委託販売で、いつ売れるか分からないし、売れたとしても入金日が確定しない。売れたかどうかも分からない。さらに、決算時にはリベートを別途要求される...。付き合うだけ、損ですね。

 より取引条件のよい会社に、よい商品は流れていく。取引条件のわるい大手は、よい商品の確保がままならず、顧客の支持を少しずつ失っていくことになります。

 我々中小は、リベートをメーカーに要請するなんて、とんでもありませんね。締め支払いで付き合ってくれているだけでもありがたい話なのに...。最初は前金とか言われるのがあたりまえですからね...。

 リベートなんかよりも、より売れる商品と、売れる仕組みと、社員のモチベーションを高め、顧客の支持を高める。その方に力を注がない限り、大手には負けてしまいます。

 リベートをくれるような会社と取り引きしようと思っても、第一向こうから取引量が少ないと、断られてしまいます。よーく考えてみると、我々中小零細企業は、仕入れ先を「接待」して、よりよい商品を開発してもらうほうが、商売としては理にかなっているような気がしてなりません。

●納入業者を「接待」すると...、まるで自社スタッフのように働いてくれるようになる!

 納入業者を「接待」すると言うことは、この通販会社専務がおっしゃっていましたが、その業者のスタッフを、外部の社員であるにもかかわらず、自社の社員のように活用できるそうです。
 ここがすばらしい。場合によっては、自社の社員以上に、良いアイデアを出してくれるかも知れません。なぜなら、いつも商品開発をやっているわけですから、商品の原料や製法については、販売会社の社員よりも、グーンと詳しいわけです。逆に教わって、詳しくなることもできます。

 そして、その販売会社は、その商品の販売量について、目標を設定したとします。それもすごい高い数値を...。達成したら、ボーナスもあるということで...。
 すると、どうでしょうか。販売会社社員のやる気に引きずられる形で、メーカー社員も、いっしょになって、目標達成に向かって、やる気になります。メーカーの担当者は、自分の成績が上がるわけですから、もう、販売会社と一心同体、あなたが儲かると私も儲かるという状態になります。

 ここまで来れば、あとは、目標達成のために、何が必要かという会議をやり、出たアイデアを次々と実行していくだけです。メーカー担当も販売会社側も、自分のアイデアなら、自分で意欲を持って、責任を持って成し遂げようとしますから、熱気が違ってきます。販売の結果、1本で売るよりも、3本セットの方が、総売上高は上がった。では、1本おまけを付けて、3本分の値段で4本売ると、どうなるだろうか...。販売のデータを目の前にすれば、そのようなアイデアが出た時でも、結論がスグに出ますね。メーカー担当者も、売上げが総合的に伸びることが、成績アップにつながるのですから、できる限り協力することになります。

 外注先の社員を、自社の社員のように使う。そして、他社にできないアイデアや製品の改良を加え、キャンペーンなどもいっしょになって考える。そうすると、販売会社の担当者1人のアイデアだけでなく、仕入れ先の社員全員を見方にして、戦うことができるのです。

 つまり、優秀な外注先を手に入れるということは、他社に勝つための手段の一つとして、大変重要なことであると言えます。

 しかし、条件があります。「接待したくなるほど、すばらしい外注先」であることです。変な外注先を接待して、何も変わらなくては、無駄金になります。「接待」したくなるほど優秀で、長期に渡ってつきあいが継続でき、他社との差別化に有効に作用する外注先。そして、外注先のスタッフや社員の心を一つにして,大きな目標に向かわせる人心掌握術。この2つを得ることで、今後の営業戦略にも、少なからぬ好影響をもたらしてくれるはずです。

 それにしても、昔の戦国時代も、武器商人は大切に扱われていましたし、鉄砲のあるなしが勝負を決めた戦もありました。出入りの者を大切にし、新しい情報と武器を手に入れることは、昔も今も勝負の決め手です。
 現代は忙しいのと、インターネットの普及のためか、営業マンが疎まれる雰囲気があります。しかし、なぜ、疎まれることになったのかを考えてみると、売る側が売ることだけを考えて、顔を会わせればスグに売り込みに入る営業マンが多くなったことが原因のように思うのは私だけでしょうか。

 また、購入側も、何でも値引きや、相見積もりをとって一番安いところから仕入れば、もっともよい取引ができると考え、容易に値段だけで仕入業者を判断していないでしょうか?
 実際は、商品そのものの仕入には、たとえば納期が守られるとか、納期が早いとか、支払い条件や営業マンがどれほど購入側の利益を考えて行動してくれるか、また、販売会社が社会に害のある行動を取っていないか、商品や商売に関する知識を提供してくれるかなど、取引とは商品のまわりにある、見えないものもいっしょに買うわけです。
 そうしたものも含めて、取引先決定の要件にするというのは、今後の商売で他社に負けないためには、是非ともやるべきことだと思いますヨ。

(田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」4号 2002年7月15日号より抜粋、加筆、要約」)
posted by がみぽん(旧:ニャンダー) at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ●業績アップ企業が心がけていること

展示会の10分の1のコストで見込み客を集める手法

●商品はなくても、お客を先に集められる

 小冊子による顧客集めの方法をご紹介しましょう。

 住宅業界やカツラ業界、金融など、幅広い業界で、「今なら先着○名様に、小冊子をプレゼント!」というのが、よく行われています。
 実は、このセールス法、「2ステップマーケティング」といって、高額商品を販売する場合に大変効果的な手法として、幅広く行われている販売手法なのです。
 とにかく、見込み客が、簡単に集まってしまいます。小冊子を送った後、感想を聞いて、本当に興味があるかどうかを見極めてから、実際のセールスをします。あるいは、小冊子に案内書やセールスシートを同梱し、注文を受けてしまいます。飛び込みやのべつ幕なしにテレアポするのではなく、実際に興味があると手を挙げているので、セールスをしていても、商品を売り込まないといけないと言う感覚はなく、小冊子の中身についての話から始まるので、説得しなくてはならないストレスがないのです。

 昭和40年代頃の日本の高度成長期やバブルの時代には、商品を作る側の方が力が強く、買ってくれそうなところに飛び込みで行けば、ドンドン注文が決まったと聞きます。今でも超成長期にある製品では、作ったら作っただけ飛ぶように売れていくという世界もあるようですが、昔のように、何でも売れたのとはワケが違います。
 
 今はまさに不景気ですから、なかなかものが売れません。売れないどころか、一体誰がこの商品に関心を持っているのかさえも分からないのですから、セールスのしようがありませんね。しかし、この方法だと、セールスをすべき相手が、結構簡単に見つかってしまいます。商品を販売する際に、もっとも労力のかかる、買ってくれるかもしれない見込み客を探す仕事がすでに終わっていますから、あとは実際にセールスするだけです。

●さあ、あなたも小冊子を作ろう!

 小冊子は、20ページでも、30ページでも大丈夫です。50ページ、60ページ程度あると、それなりの束冊子の厚さが出せますから、さらによいです。文字は12ポイントや14ポイントにして、大きくしたり、写真や図版を入れて、なるべくページ数を稼いでください。
 価格もつけちゃいます。タイトルは、住宅会社なら、「欠陥住宅をつかまされない7つのポイント」とか、カツラなら、「あきらめないで!まだあなたの髪は増やせる!」、といった具合に、その悩みを持った人なら、欲しがるであろう情報が掲載されているものにします。本当に売りたい商品のことは、この小冊子の希望者を募る時点では、決して話してはいけません。小冊子内にも、書いてはいけません。とにかく、売り込みの臭いを消すこと。無料で差し上げる代わりに感想を聞かせて欲しいとか、アンケートに答えて欲しい、「私は業界の悪習に嫌気がさしたので、本当にユーザーのために活動している」、などと言うふうに、無料である理由も明示しておくことも、ポイントです。

 形態は私の場合、A5サイズに製本したものと、製本せず、A3サイズを2つ折りにして小冊子印刷をしたものの2通りを実行したことがあります。どちらも無料進呈の返信の率は高いのですが、今ひとつ成功率が低い。もらった側が嬉しいと感じるのは、やはり製本したもののようです。予算が許せば、ぜひ外注してください。私も、小冊子の外注を準備しているところです。作りが良いと、その後の反応が異なるようです。おまけに、本棚に立てて、保管することもできますからね。中綴じや製本なしでは、そうはいきません。

 小冊子をせっかく作っても、ほしがる人がいなかったらどうしようか? というご不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。それも払拭できます。作る前に、先にDMを出すのです。えっ、欲しいという人が来たら、どうするのかって? 請求者に対しては、「お待たせして申し訳ございません。請求者多数につき、予定を超えてしまいました。せっかくご請求頂いたのに、お送りできないのは何とも心苦しいので、現在増刷しています...しばらくお待ち下さい」などといった、ご案内を、ファックス同報で送っておけば良いのです。

 これなら、配ることができなかった小冊子の山ができて、処分に困るという不安も解消できますね。

 それでもリスクが大きいとお考えの方ならば、小冊子を自分で製本してしまうという方法もあります。実際に私はそうしました。ただし、私のものは中綴じだったので、高級感に欠けるという欠点がありました。

 しかし、せっかくの見込み客も、成約になると数%〜20%。数打たないと勝負になりませんから、やはり、100〜200件くらい集めてからアタックしないと、商売にはならないというのも事実です。

 仮に、1000部のA5版を作るとすると、本文・表紙とも1色で、レイアウト済みの原稿を入稿すれば、20万円はかからずにできるようです。見積もりを出入りの印刷会社から取ってみましょう。ワードで十分レイアウトできます。

 さて、では、成功実例を見てみましょう。

●1人で800人の戸建て建築希望者を集める

 まずは、ある土木業のZさんの例を見てみましょう。

 Zさんは、実家の土建業を経営していますが、現在は土建業を廃業し、あるNPO法人を作り、欠陥住宅ではない、適正な価格の住宅を供給するための会を、今年から始めました。
 この人のすごいのは、商品はまだないのに、会員だけは800人を超えて集めてしまったことです。最終的には1,000人を超えるでしょう。しかも、この方々は、この小冊子が欲しくて連絡してきた人ばかりですから、住宅建築を真剣に考えている人ばかりです。

 今後は、この会に賛同する工務店も組織し、Zさんのノウハウで現場を監理し、本当に手抜きのない良質な住宅を建てるためのコンサルタント的な活動を行っていくことになっています。現在は準備段階ですが、これだけの住宅建築見込み客リストを1人で持っている人を、業界が放っておくとは思えないですから、必ずうまく行きますね。商品はなくとも、顧客を集めることができる、好事例です。

 私は、サラリーマンを辞めて独立した時、最初に新規の顧客獲得のためには何よりも商品がないと、できるわけがないと単純に考えていました。しかし、今では考えは180度変わりました。商品を売る前に、先にお客を集めてしまうことができるのです!

 800人の住宅建築見込み客は、一体いくらかけて集めたのでしょうか。100万円もかかっていません。小冊子14万円、広告代40万円、その他フリーダイヤルなどの通信費に10万円等といった具合。1人1,000円程度で、住宅建築を真剣に考えている見込み客が獲得できたというのは、住宅業界にとっては、極めて驚異。50万部のチラシで、現場見学会への集客が50人来たとしても、1人2〜3万円程度かかるわけですから。

 この小冊子無料プレゼントの告知を、地元のタウン誌に出稿しました。
 告知は、見出しがまず重要です。「子供を持つ30代のお母さん」、「マイホーム、私にはムリだわ」という冒頭の部分は、呼びかけとして、非常に重要です。
ガイドブックの無料進呈が最初に案内され、その後NPO法人の紹介と、ガイドブックを手に入れることによるメリットを、書いています。そして最後に、「お申し込みは今すぐ!」とあって、フリーダイヤルの番号に電話かファックスするように呼びかけています。
 効果のある記事広告の必要な要素は、あまりパターンはありません。上のような要素を、同じ順番で書いて見てください。そして、記事のように見えるタテ書きレイアウトにするのも、重要なポイントです。

 小冊子プレゼントの反応率を高めるには、このように、手紙のようなスタイルは最高に効き目があります。これ一つで、130件くらいの反応があったとのことでした。
 地元紙の新聞記事にもなりました。記事はすさまじい反応で、電話がパンクしたそうです。2、3日間で400件くらいの資料請求があったとのことです。

 電話の応対は、人間ではなく、留守番電話でOKです。これなら、無人で応対でき、後でゆっくりアルバイトに文書化させれば良いからです。

 小冊子を請求した方へはニュースレターを出します。小冊子を受け取った人で、NPO法人の会員に登録を希望すると、ニュースレターが、無料で毎月送られてきます。
 このニュースレターの目的は、信頼感の醸成です。Zさんの活動は、「非営利」です。使命感に燃えた、元土建屋のオヤジが、あまりにも多い欠陥住宅に嫌気がさし、本当に作る側も買う側もにっこり笑顔でひき渡しができる、本当の良質な住宅供給のために、人生を捧げているのです。そのイメージは、新聞の記事での紹介や、こうしたニュースレターの配信によって、作られて行くのです。

 そして、Zさんは、良質な住宅を提供する執念に燃えた、本物の商売を追求する工務店だけを厳しく選別し、建築希望者に紹介をします。おまけに、引き渡しまで責任を持って、現場を監理し、決して欠陥住宅を作らないことを保証するのです。このサービスには、工務店からの紹介手数料という形での支払いでまかなわれます。これが、会の運営を維持していく収入となります。

 効果を上げられる広告の、一つの成功手法を使って、お客を集めることができるかできないか。Zさんは、できるから、大きな構想を立てて、推進していくことができます。できなければ、もしくは、効果的な手法の存在も知らなければ、以前の私のように、売り込みに行って、玉砕していくばかり。私がもし手法を変えなければ、今頃は一家で路頭に迷っていることでしょう。
 たった一つのスキルがあるかないかで、人生が天にも地にも落ちていきます。ぜひ、この小冊子による見込み客獲得法を、マスターして、不景気を乗り切ろうじゃありませんか!!

(田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」5号 2002年8月15日号より抜粋、加筆、要約」)
posted by がみぽん(旧:ニャンダー) at 20:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ●プロが決して教えない効果が出る販促実例集

売上高前年同月比8割増のDM改善の秘策

 さて、私のお客様に、今期、前年対比8割増の売上げで推移している通信販売会社さんがあります。年初から、印刷物の形態を工夫して、作り直したり、新しいものを作ったりして、飛躍的な成果を上げられています。
 新しいコストというのは、あまりかかっていないのです。かかったコストは、社長が頭を使ってアイデアをひねり出すためにかかった時間と、新しい版下をデザインしたり、印刷したりするコストだけ。それも、すでに注文を受けたお客様に向けてのみ出しますから、本当に少ない部数で、効果的にメディアを活用されています。

  顧客はシニア層。50歳から上の、すでに子供が育ち上がった夫婦などが対象です。販売は印刷物の配布と、コールセンターでの受注。現在の主力製品は健康製品です。これらの商品が今、ヒットしています。

 新規顧客を獲得するための広告は、新聞広告やチラシ、他社通販の納品パッケージへのチラシの折り込みなどです。こうした販促手法は、通販会社としては良くやっていることで、特に目新しいものではありません。

 社長に7月初旬に本社でお邪魔して聞いたところ、実行したアイデアのうち、やったことを聞いてみたところ、大きくわけると2つしかないとおっしゃいます。

@ 社長以下、全員の似顔絵を作った
A その似顔絵を使って、お客様からみて、親しみ度を増すように印刷物を改良した

これだけだそうです。

 もちろん似顔絵は、当会オリジナルの、似顔絵師「つっちぃ」が描く、全身ポーズ付きの、コミカルな似顔絵「わたしキャラ」です。

 最初、似顔絵はニュースレターに使いました。以前の似顔絵は、プロが描いたものではなかったので、それをまず替えました。これは、売り込みを目的にしたニュースレターではありませんでしたので、特に反応が増えたというものではありませんでした。

 次に、今年の3月から、似顔絵入りのお礼の手紙を商品が着いた数日後に着くよう出すことにしました。これで、未払い代金の督促が減った上に、発送漏れもスグに分かり、顧客満足度の向上に大いに役立ったとのことです。

 さらに、商品サンプルを入れるパッケージをつくりました。全社員の似顔絵を入れたものです。これを、商品の最初の発送時に同梱することにしました。すると、2割の率で、注文が入るようになりました。以前は同梱していませんでしたから、ここで生まれた注文は、そのまま売上げがプラスになりました。

●アンケートはがきが5倍以上に増える

 さらに、アンケートはがきを改良しました。アンケートはがきは、以前の担当者名も何もなく、「あなた様のお声をお聞かせ下さいませ」として、ただ社長行きとしていました。これを、担当者の名前と似顔絵入りのものにし、選択式のアンケートにし、書き込み欄を減らしました
 この結果、アンケートはがきの返信が、以前は一日に数通だったものが、30通ほどと、5倍以上に増えました。以前は数十通だったのが、月に500通来るようになったのです!

 量が多くなっただけではありません。お客様からのアンケートの内容が、商品に関するものだけだったのが、担当者を名指しで、感謝の言葉がつづられるようになるなど、大きな変化がありました。
 はがきを見ると、顧客が書いている文面が、明らかに変わっています。以前は単に、感想だけを「独り言」のように書いてあるだけでしたが、お客様からの声が、まるで個人的な知人への手紙のように、明らかに「語りかけ」になっています。
 文面には、商品を使った感想や、感謝の言葉が入るだけでなく、身の上話や家族の話題までもが入るようになりました。読んでいて楽しくなってしまいます。

 「以前からも、お礼のはがきが来たら、手書きの返礼をお出ししていました。以前だと、つぶやきのようなものしか来なかったので、書く側もどうしても通り一辺倒にしか返答できませんでしたが、身の上話やコラムへの感想なども書いて頂けるようになって、読んでいて本当に楽しいし、返事を書く方も身が入るようになりました」。

 返信は封筒で、プレゼントといっしょに送付しています。もちろん、返信は、1人1人に、すべて手書きで対応しています。

 このほかにも、最初のお届け時に商品と同梱する社長名のお礼の手紙を改良しました。以前のものに比べ、文面をかなり「馴れ馴れしく」(社長談)書き換え、似顔絵をつけたとのことです。受け取った顧客にとっては、親しみ度が上がったのでしょう。これで、その後のレスポンスが大いに上がったそうです。

 「以前も似顔絵はニュースレターにつけていましたが、それほど良いできのものではなく、こうした印刷物に使おうという発想は出てきませんでした。しかし、このつっちぃの似顔絵だと、いろんなものに使おうと言うアイデアが出てくるのです。この似顔絵をつけると、つけるだけでも印象ががらっと変わります。すると、この似顔絵なら、文章もこうしたほうがいいなとかいうふうな考えが出てくるので、結果的に個人のパーソナリティーを全面に出した、馴れ馴れしい文面ができました」(社長談)

 同社社長は、通信販売事業をより高いステージに引き上げたいと、今年初めから朝6:30に出社時間を早めてアイデアをひねり出し、実行した結果、このような成果を出したのです。

 「家から歩いて5分のところに会社があるので、6時半に出社して、みんなが来るまでの朝の時間は、本当にじっくりと考えが巡らせられます。これをやるようになってからですね。」(社長)

 広告費を大幅に増やすことなく、新しい社員を入れたわけではなく、印刷物の改良と、ちょっとした工夫で、大きな成果が上がる。これができるようになるには、まずは改良をやってみるしかない。やった結果、小さく成功すると、次はこれ、その次はこれと、次々とアイデアが湧いて、一つ一つ実行しているうちに、ドーンと大きな成功にぶつかったのです。
 もちろん、うまく行かなかったアイデアも出てくるでしょうが、それにめげることなく、実行していくと、必ず成功にぶち当たる。実行するのみですね。結果は、実行しないと出ませんからね。

 アンケートはがきを見ていますと、これだけ商品に満足されたお客様が、いわば「ファンレター」を、毎月数百枚も送られてくるというのが、なんとすばらしいことかと思います。社員は、これを励みにして、次の仕事に前向きに取り組むことができます。今回社長とともに、インタビューさせて戴いたスタッフさんも、本当に楽しそうにお話されていました。

(田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」4号 2002年7月15日号より抜粋、加筆、要約」)
posted by がみぽん(旧:ニャンダー) at 20:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ●プロが決して教えない効果が出る販促実例集

ファックスDMのレポートは、反応があってから作っても遅くない!

 さて、ここで反応してくれた方々は、みなさんレポートを欲しいと言って、返送してくれた人たちです。ですので、必ず、レポートをきちんと送ってあげなくては、約束違反になります。

 とはいえ、レポートを作ってから、ファックスDMを打つというのも、結構なリスクです。20ページ程度のレポートを作るには、私でも3日から1週間くらいはかかります。

 しかし、ファックスDMが来てからレポートを作ったって、大丈夫です! レスポンスがあった人には、以下のような文面をファックスで返送してあげてください! あ、ちなみに、スグに送ってはダメですよ。3日後くらいが良いでしょう。

 「送付許可書をお送り戴き、誠に有難うございます。現在応募多数のため、スグにお送りすることができなくなりました。あまりの反響のスゴサに、びっくりしております。予定の部数がなくなりましたが、あなた様にもお届けできるよう、現在増刷を準備中です。増刷できしだい、お送りしますので、今しばらくおまちください」

 これで、レポートはまあ、2週間以内に届けば、許してくれるでしょう。しかし、社員には、ちゃんと言っておいてください。「まだ来ないのか」と、催促してくる人が、たまにいますので。

 福岡市にとあるラーメン店がありますが、この店の看板には、「新横浜ラーメン博物館展示店」(以下ラー博)などと、はっきりと書いてあります。まるで店自体が「出展」しているような書き方ですが、どんぶりが展示されているだけで、店が出ているわけでも何でもありません。ちなみに、ラー博なんて、出展なんてできるわけがないと言うほどの味です。
 しかし、駐車場はいつもお客さんでいっぱいです。

 また、20年くらい前に、朝のテレビ番組で、ほんの数十秒紹介されただけで、「○○テレビで紹介された店!」と、看板を出している店もあります。
 このくらいの図々しさは、商売やっているのですから、気にせずに!

 ちなみに、私も、この5月のファックスDMは、FAX DMの発送を先に行い、レポート執筆はそのあとにしました。上の文面の「しばらくお待ち下さい」ファックスは送りませんでしたが、ファックスDMを実施して、10日ぐらいあとに発送しました。34人のうち、1人だけ、催促がありました。しかし、注文率は10%以上でしたよ!

●戦術は分かった。では、戦略を作ろう!

 いかがでしょうか。いかにファックスDMが効果的であることと、反応を取るための方法が、おわかり頂けたことと思います。
 それでは、ここで反応があった人に、セールスをまとめていくための具体的な戦略を立ててみましょう。

 反応があった人たちは、もちろん、貰い屋さんも多いでしょうが、昨今はリストを平気でリスト業者に販売して、客の信用を落とす企業があとをたたないというご時世にもかかわらず、リスクを覚悟で、住所や役職、部署名、メールアドレスまでをも書いてきてくれているのです。

 この人たちは、「性善説」にのっとっているのであり、あまり懐疑的ではなく、あなたに大変興味があるのです。

 こういう人に、あなたはまず、期待を超えた結果を出してあげることが重要です。

 レポートにしろ、小冊子にしろ、出し惜しみをしてはいけません。あなたがいくつか持っている、すばらしいノウハウを、余すことなく、はき出してください。
 あ、でも、いくつか持っているすべてを出す必要はありません。一つだけを、全部出しちゃってください。
 そして、内容は、具体的に、ここまで出しちゃってもいいのか? というくらい、生々しい数字や事実を、事細かに、できるだけ詳しく、実名で書いてください。
 ただでもいいから、教えても良いというようなお話ではなく、本当は、お金をもらわないと教えたくないんだけど、教えちゃおう、というようなくらいのものが良いです。

 それくらいやって、やっと、読んだ方は、あなたのことを信用してくれるようになります。

 それから、ページはできるだけ多い方が良いです。
 私の場合で、A4サイズで33ページ。去年やったときの小冊子は、A5サイズで72ページでした。リストが異なるので、簡単に比較のしようがないのですが、多ければ多いほど良いです。

 しかし、文字は、小さくなくても良いのです。私のもので、1文字の大きさは、ワードの標準の10.5ポイントではなく、12ポイントになっています。1ページの行数も、26行と、かなり余裕をつけています。文章自体も、口語体にすると、文字数は増えますし、改行も多めにし、段落は1行空きをつけてしまったりするなどすれば、20ページなんて、アッという間にできます。

 体裁なんて、まったくこだわらなくて良いです。私のものなど、今読んで戴いているものがそうですが、A3サイズのコピー用紙に、小冊子印刷機能を使って印刷し、2つにおっただけです。添付の資料も、ホッチキスで1点留めただけです。会社のコピー機やプリンターで、十分作成ができます。
 小冊子印刷機能は、事務所にある、ゼロックスのDocu Cetre251FSにはついています。原稿はA4で作成して1部だけ印刷し、小冊子機能を指定して、読み込ませれば、あとは自動で丁合を取ってくれますから、大変便利です。
 これなら、40ページでも、カウンターは20枚分ですから、1冊150円くらいですね。表紙だけは、名刺などにも使える厚紙をつけました。

 私の場合は、最初こそこのコピー機でやってましたが、現在は、Windows用のシェアウェア(インターネットからダウンロードできて、数千円の料金を支払うと全機能が使えるソフト)で、「Fine Print2000」というものを使っています。4,800円ですが、コピー機よりも安いモノクロレーザープリンター(A4一枚2〜3円で小冊子印刷ができるので、重宝しています。
問い合わせ先は、株式会社日本システムデベロップメントで、URLは http://www.nsd.co.jp/share/fineprint/ です。パッケージ版もあるそうですが、10ライセンスからですし、パソコンショップ等では見かけたことがありません。インターネットでダウンロードすると、無料の試用版があります。ぜひ、ネットでアクセスし試してみてください。

 小冊子印刷は、キンコーズでもやってもらえます。カラーの光沢の表紙をつけて、A4サイズ40ページ100部が10万円くらいでした。表紙がモノクロなら、もっと安くできるでしょう。
 他にも、印刷会社でも、ドキュテックという、ゼロックスの印刷会社向け高速コピー機などは、製本機能が付いていて、1,000冊12万円などでやってくれるところもあったりするようですので、出入りの業者さんに、問い合わせてみてください。

 レポートを読んで、感激してくれた人が手にするのが、セールスシートです。私は郵便で送ってしまいますが、対面セールスが得意の方ならば、このレポートを持参するというのも手です。レポートだけを送っておいて、読み終えた頃を見計らって、電話をして、感想を聞かせてくれというアポイント方法もあります。
 本当に、読んだ内容に感激してくれていれば、結構親しく会話ができますよ。

 ここから先は、あなたのセールス力に、お任せします。

(田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」3号 2002年6月15日号より抜粋、加筆、要約」)
posted by がみぽん(旧:ニャンダー) at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ●法人客向けファックスDMの実例

ファックスDMはまず100通でテスト。反応を見て、文面を修正しよう

 さて、実際に出してみましょう。

 出すときは、たとえ同報システムを使うにしても、一気に1,000通などには、送らないでください。まずは、100〜200通でテストしてください。テストの結果で、文面やタイトルを変えて最も良い反応だったものをさがしてください。
 100通だと、費用は3,000円もかかりません。これで、3通くらい返ってくれば、1つの見込み客リストが1,000円で集まったということが言えます。
 もし、私のように、パソコンファックス同報システムを使えるのであれば、100通で750円ですから、3通返ってくれば、1通250円です!

 同報サービスを使う場合は、慣れれば30分ほどの作業でセットアップが完了します。その後発送ボタンを押すと、10分くらいで送信が始まります。発送ボタンを押してから、ほんの15分程度で、返送が返って来始めます。もう、「うわーっ」って感じです。次から次へと、返送が来ます。この人たち全部が、見込み客です! 今まで、何の接触もなかった人たちが、あなたのその情報を欲しいと言って、反応してきてくれたのです! 

 ところで、会社のファックスですから、深夜に送って、電話代などを安価に済ませたいと思いますが、極端な早朝や深夜を避け、朝は7:00以降、夜は22:00までには終了するようにしましょう。なぜなら、獲得したリストが古い物である場合、その会社が移転などでなくなった場合に、個人宅の番号になってしまっているケースがよくあるからです。実際に電話がかかってきますから、びっくりします。
(出所:田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」3号 2002年6月15日号より抜粋、加筆、要約)
posted by がみぽん(旧:ニャンダー) at 20:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ●法人客向けファックスDMの実例