このような、なぜ、この会社に発注するのかを考えることが、まずは第一歩です。つまり、発注する理由は、商品がいいからでも、サービスの品質がいいからでも、価格が他より安いからでも、会社が信頼できるからでもなく、気に入った担当者がいるから、その人から買うのです。
もし、いつも来てくれる担当の何々さんの、自宅はどこにあって、どんなマンションなのかだとか、個人で持っているパソコンて、どんなメーカーなのだろうとか、お子さんとか奥さんがどんな人なんだろうかとか、会社の中の風景がどうなっているのかだとか、実際にどんな仕事をやっているのかとか、苦労した話とか、美味しいと思っているお店だとか、趣味とか彼女がいるのかとか、出身地がどんな場所なんだろうかとか、大学の時やっていたことだとかなどの話が載っているニュースレターが来たとしましょう。「あー、あの人、そうなのかー」って、興味深く読んでしまいます。
もし、趣味が同じなら、バイクならツーリングの話題とか、新しいバイクの話などで、次回あったときに盛り上がってしまいます。
担当者の勤めている会社の情報などではなく、このような個人的な話題だと、思わず読んでしまうのです。
はっきり言って、仕事にあまり関係のない話が、ニュースレターの中身としては、よい、ということなのです。
上に述べたような、「非公式でかつ、私的な情報を届ける」ということに徹する方が、必ず結果は取れます。
これは、どうしてでしょう。言葉では、言い尽くせないのですが、なぜなら、そこに、パーソナルなコミュニケーションが成立するからです。
営業の場面を考えてみてください。セールスは、先にこれをまず作り、信頼関係を築いてからでないと、相手は何を言っても信用してくれませんよね。初めて会った見込み客に、雑談を全くせず、いきなり商品に関することを話し始めたって、商談がうまく行くわけないですよね。アメリカの有名なセールスマントレーナーのブライアントレーシーによれば、「商談の労力の40%は、信頼関係を作ることに注力せよ」と言っています。ニュースレターは、信頼関係の構築を、会うことなく、紙の上で済ませてしまうことができるのです。
そして、送付の手段は、店舗がなければ、郵便で送るのが、最も相手を喜ばせることができます。それも、切手を手で貼って、消印が押してあるというものです。
ニュースレターを送った相手に、どんな感情を引き起こすことが目的かということを考えてください。「感謝の念を持ってもらい、信頼関係を築く」ということですよね。これを忘れては、ニュースレターをやる意味がありません。つまり、「ああ、わざわざ送ってくれてありがとう」と、思わせるのが、まずはコツなのです。
ファックスやメールも、受け取ったときに、「あ、わざわざ送ってくれた」という印象が生まれにくいです。最悪なことに、電子メールは、読まれないことが多いですから、この「担当者とお客様の間の人間的な信頼関係を構築し、商談をスムーズに進行させる」という目的においては、使わない方がよいのです。
(出所:田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」2号 2002年5月15日号より抜粋、加筆、要約)
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