たった40通のDMで、2件の注文をとり、72万円の売上を獲得。使った切手代3,200円のなんと225倍の売上です。
●同業者の飛び込み安売り攻勢で、成約率が落ち始めていた
Aさんが住む市は、福岡市の中心部から電車で30分くらい、人口およそ65,000人の街です。ベットタウンとしてマンションや新築もたくさん建っています。Aさんは、新築の戸建てオーナーに、オーダーカーテンを販売されていらっしゃいます。スタッフはご自身のみです。商圏は隣の2町を合わせた1市2町域にほぼ限定しています。
弊社でホームページを作らせていただきましたところ、ホームページを見た地域シェアナンバーワンの戸建て住宅会社から、安定的に紹介をもらえるようになったり、少し遠方ですが、富裕層の上客が見つかったなどと、明るい話題が多く、熱心に頑張っていらっしゃいます。
その一方、少し前から他地域の同業者がわざわざ飛び込みで来るようになり、競合が激しくなって、直接営業で捕まえた個人客との商談の成約率が、1年前の3分の1に落ちてしまいました。最近は同業者の攻勢があまりにも激しくなったため、以前はリストの見込み客に電話をかけても感謝されていたのが、最近は、煙たがられるようになったそうです。
Aさんは、営業から納品までをすべて一人で行う自営業ですから、売上ダウンは家計を直撃します。加入している青年会議所の活動も、糸島地区合併協議会の設置などで、大変多忙に。8時から9時までの、Aさんにとっての商談電話ゴールデンタイムも、つぶれることが多くなっていました。
●お願い電話をせずとも、注文電話を客にかけさせる方法とは?
そんな悩みを抱えたある日、営業している中で、いつも考えていたメッセージをニュースレター(=売り込みのない手紙形式のDM)に託してみてはどうだろうかと、Aさんは思いつきました。
そのヒントは、実は当会が毎月送っているニュースレター「紙とネット」(現:販促成功通信)でした。
当社にお越し頂いて打合せを行い、内容をうち合わせました。
2時間ほどの打合せを経て、このニュースレターに載せるべきことがはっきりしてきました。
まず、最初は共感です。
引っ越しするだけでも大変なことなのに、家を新築して、他の地域から越してこられる方ばかりです。新しい生活が思うようにできるかどうか、不安で不安で仕方がないのが、このAさんの商品の販売対象(=ターゲット)の方々です。Aさん自身も、10年前同じ立場でした。そのため、まずは私も同じ気持ちでこの場所に越してきました、良い場所ですから安心して下さい、というメッセージを挨拶として書きました。
続いて、お役立ち情報です。
2、3ページ目は、10年間住んだ結果、お勧めできる店の紹介です。引っ越してきたばかりで困るのは、買い物や子供が熱を出したときにどこに行けばよいのかです。そこで、美味しい食事ができる店や歯医者、クリーニング、歯科医、スーパー、生協、小児科などで、評判が良かったり、自身で利用して良かった店を取り上げて紹介しました。
Aさんは、このようなニュースレターを作り、2月の始めに40通ほどを発送しました。
その活用の方法をご紹介しましょう。
まず、
@ リストに電話して雑談し、あたりが良さそうなお客さんを見つける
A あたりが良さそうなお客さんにカタログを送付
B しばらくしてから、このニュースレターを送る
という三段階の手順を踏んでいます。
この結果、どうなったか。これまで、電話でさんざんやってきた、「見積を作らせてください」「安くしますよ」とお願い営業の電話を一切することなく、お客様の方から、「手紙ありがとう」と言って、5件の見積依頼があり、そのうちの1件から、40万円の注文が取れました。
この1件の他に32万円のお客様も決まり、受注2件で合計72万円ほどの売上が確保できました。2号目、3号目と発行を続けて、成果が出ています。
一番よかったのは、お客様から電話がかかってくる点でした。個人客へのセールスの電話は、夜8時から9時の1時間で、できるだけたくさんの電話をかけ、「密度の高い雑談」をして、どれだけ仲良くなれるかどうかが勝負といいます。個人のお客様が相手ですから、自宅に帰り、食事が済んで、ゆっくりしているのは、この1時間だけ。だから、雑談は真剣そのもの。赤ん坊の声がしたら、ミルクは何を使っているだとか、ゲームのピコピコ音がしたら、この間発売になったゲームの話を振ったりだとかという必死の努力があったのだそうです。
これが、ニュースレターを送ると、この1時間の間に捕まらなかった人でも、自らかけてきてくれて、書いてあることだけで盛り上がってしまうため、ネタ探しが不要になり、商談が大変楽になったそうです。時には長話になりすぎて、困ることがあるくらいだそうです。
この方法を試す前は、電話をこちらからかけると、どうしても「米つきバッタ営業」になって、「見積だけでも出させてくれ」なんてお願いしてしまい、相見積になったり、値切られたりしがちでした。
このように、お客様の方から電話をかけてもらうことになり、見積を向こうからお願いされるセールス方法への転換を図ることができました。主導権は、電話を受けた方にありますから、無用な値引きも、交渉も減り、お客様から感謝されながら、商談が進行していくようになりました。つらかった商談電話が、楽しくなりました。
● 本事例における成功のポイント
・ ターゲットの困っていること、自身がそれを助けられるかどうかをまず検討。
・ ニュースレターに情報をまとめ、一度でも接触をした後に送付。
・ ニュースレターのネタは自身のオリジナル情報。
(田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」0号 2002年3月15日号より抜粋、加筆、要約」)
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