インターネットを使った販促事例は、これまで紹介したことがありませんでした。中でも、無差別メールを使った方法は、近年は「スパムメール」(迷惑メール)として、出した人は社会的に悪者扱いされています。反応率も、送付を承諾されたものに比べれば、「未承諾」のメールの反応率は、極端に悪いのが実情です。
先日受け取ったものは、極めて上手にかかれていました。この内容は、紙ベースのモノにも十分参考になります。ご紹介しましょう。(<@>などとなっている部分は、私が説明をするためにつけたものです。)
逆に言えば、「未承諾メール」と件名につけてしまえば、送ること自体は違法ではないので、ガンガン送ってしまえば良いのだとも言えます。
私のメールアドレスには、こうした未承諾のメールが、1日数通(注:08年の現在は数百通)来るので、通常は無視しています。特に、<@>の部分のように、「突然のご連絡で...」といった部分がある場合は、すでにその時点で「未承諾メール」と分かるので、無視する癖がついています。
しかし、少し読んでみると、<A>のように、「現在ご利用中のサーバをチェックしていただけたら」となっておりました。何かの商品の良さを訴えたり、キャンペーンでお得などと書いてある、よくあるメール広告のようなものではありませんでした。単に、サーバの回線品質チェックをお願いされているだけで、しかも、自分のサイトの品質がチェックできるということで、まあ、試してみるか、と言う気になりました。
たまたま、ホームページのサーバーを社内の回線から、外部の回線に移設しようとある業者に申し込んでいたので、少し興味をもちました。
さらに、<B>のように、こちらの自尊心もくすぐるような部分も入っています。「規約上OK」とか、「内容もきちっとされている」と判断したところにだけ送ったと、書いてあります。単純に自動的に送ったということではないという点には、好感を持ちました。
その後は、数値的な部分で、どんどん信用してしまいました。
まだこの会社に申し込んではいませんが、魅力的な文面がちりばめられています。<C>で3ヶ月間無料を訴えています。<D>では、今度は現在使っているホスティングサービスの残り契約期間がある場合に、「バックアップ」として使えるということを訴えて、契約変更による残存期間の支払いも、ムダにはならないことを訴えています。
<E>で、もともと使っていた遅いサーバはバックアップで、新しく契約したサーバは本番発信サイトで使うと言うことを、「非常に賢い使い方」と持ち上げ、これまで遅いサーバを使っていた読み手の仕事を、決して否定するのではなく、むしろ「賢い」と賞賛しています。
本来は、「あなたの今のサーバは遅いからダメ!」と、一刀両断で言ってしまいたくなるところを、バックアップで使うのが「賢い」と言い換えてしまう。「自分の過去の選択を間違いと認める」ことを強要するのではなく、むしろ「賞賛」するというこの心憎いテクニックは、使えますねぇ。
新規が取れないこの不況下、他社のサービスを受けている顧客を、自社に寝返らせることができなければ、自社の売上げを増やすことどころか、他社に奪われてしまいます。しかし、他社の悪い点を強調すると、企業の担当者の場合、今度はそれが担当者の今までの仕事を否定したこととなり、話を聞いてもらえなくなりますからね。その危険を、見事に回避しているのが、この文章の最後の部分です。
「あなたの現在の選択は、正しい。しかし、私の方を選択すると、もっと正しい。だから、ぜひ、当社に乗り換えたほうがよい....。」といわれるのと、「あなたの選択は間違っている。しかし、私の方を選択することは正しい。だから、当社に乗り換えたほうがよい...。」のどちらが受け入れられやすいでしょうか...。前者は、今の顧客を認めています。後者は逆に否定しています。否定はセールスの場面に限らず、ダメですよね。人間、認められない限り、心を動かしませんから...。
<資料>
資料 @
株・・芦颱踉子 ワイコム・瘢雹パブリッシングシステムズ
ホームページご担当者様へ
<@>
突然のご連絡で誠に恐縮です。******の***です。
ycomps.co.jpのホームページを拝見させていただいて、ご連絡させていただきました。
お手数で大変恐縮なのですが、ホームページご担当者様へこのメールをお渡しいただけましたら幸いです。
現在ご利用になられているサーバの回線品質や設置場所をチェックさせていただきまして国内設置のサーバではいらっしゃいますが、ご担当者様にて実際に現在ご利用中のサーバをチェックしていただけたらと思いご連絡させていただきました次第です。<A>
ちなみに当メールは不特定多数にお送りしているものでは決してなく、業務の合間を見ていろいろなサイトを拝見させていただいていてサーバの回線品質をチェックしたり、コンテンツ等から弊社がホスティングご提供する先として規約上OKというだけでなくその内容もきちっとされていると判断させていただいたところだけにお送りいたしております次第です。受信された方にとっては不特定多数に送られる広告メールと同じ一通でご迷惑なのかもしれませんが、古くから商習慣としてある、例えば車の乗り換え提案のように、一件一件丁寧にご提案を含めて営業をさせていただいておりますことを念のためお伝えいたしたく存じます。<B>
さて、雑誌でもご紹介して大好評のサーバ品質チェックですが、次のアドレスでドメイン名を入れるだけで簡単にご利用いただけます。
もちろん無料です。
http://internet.ad.jp/servercheck.html現在ご利用になられているサーバの回線品質や設置場所が明らかになります。
多くのサーバユーザーの皆様がドメインを登録されてはじめてご利用されたホスティング業者様のサーバからより高品質より低価格な共用サーバに乗り換えたり、共用サーバから専用サーバへアップグレードされる方、専用サーバをご利用されていてその管理の手間を省くことからホスティング業者側のプロが管理する共用サーバに乗り換える方など、現在乗り換えが非常に多くなってきています。
もし、ホスティングをご利用中で、サービスの契約更新時が近づいてサーバの乗り換えを検討してみるときなど「全てのホスティング業者様」のサーバについてドメイン名を入力するだけで客観的な数値として比較できますので、上記URLをブックマークへ加えて是非ご活用ください。
さらに、お得な情報ですが、このメールをご覧いただいて2003年4月18日までにお申し込みいただいた方に限定いたしまして、サーバご利用期間を、
【3カ月無料】!!
にして共用・専用サーバともに初回ご利用期間に3カ月を追加させていただきます。
<C>
他社でサーバを現在ご利用されていて、契約期間が3カ月先まで残っている場合でも損はすることなく、国内最高クラスのサーバにすぐ乗り換えられ、超快適なアクセスを一日も早く開始できます!!
3カ月無料サービスは当メールをご覧いただいた方のみのご提供となっておりますので、お申し込みフォーム最後の備考欄に「**メール3ヶ月無料サービス」とご入力いただくことでご提供します。
やはり、より高品質で日本全国快適にアクセスできる弊社サーバをご利用されるのは一日も早い方が宜しいのですが、お支払いになったご利用料について元を取りたいですよね。
そこで、弊社のサーバに乗り換えられた後、旧サーバのご利用できる期間はデータバックアップサーバとしてご利用になるのはいかがでしょうか?
<D>
ドメインを旧サーバから引き上げるとウェブ表示とメール送受信は新サーバでのみとなりますが、実はどこのホスティング会社のサーバもFTPはIPアドレスでドメイン引き上げ後も必ずアクセス可能です。
ここがポイント!なのです。
バックアップサーバはデータ管理上データセキュリティを高めたい場合に非常に有効で、お客様側で必要なものですが、FTPを使って旧サーバをご活用されるのが「実は得策」であります。
弊社サーバにアップロードされたコンテンツデータ一式を圧縮ファイルにして、毎日1回外部のサーバに自動でFTPでアップロードする機能もご利用可能です。
良心的な業者様ですとお支払い済み契約期間が残っている場合その期間において旧サーバはご利用可能で、逆に利用できなければ規約にその旨書かれていない限り契約不履行でもありますので、移行後即サーバを切られないように移行前にはIPアドレスでの利用を主張されておかれることをおすすめします。
そして、一日も早く、より高品質な弊社サーバから日本全国へ超快適に情報発信されて、データのバックアップは比較的低速な旧サーバで十分なことからフルに活用する。
これは「非常に賢い使い方」なのであります。
<E>
さらに、旧サーバの契約が切れる直前ぐらいにフリーでFTP領域を提供しているサイトに今度はデータバックアップ先を切り替えれば「より賢い使い方」になります!!
最後まで読んでいただきまして誠にありがとうございます。心より感謝いたします。
サーバに関するものも含めて特にご要望などは前向きに実現していきたいと常に弊社一同考えておりますので是非ご一報ください。
また、メールがご迷惑の場合はお手数で恐縮なのですが、ご一報ください。今後送らないようにいたします。
取り急ぎご連絡まで
どうぞよろしくお願い申し上げます。
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担当:**
*****−SERVER
*********システムズ株式会社
東京都千代田区**************************
Tel:03-****-**** Fax:03-****-****
http://www.*******.ad.jp/ E-mail: ***@*******.ad.jp
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<資料終わり>
(田上恭由執筆「商売繁盛デザイン研究所 ニュースレター」12号 2003年3月15日号より抜粋、加筆、要約)